A

                 剱岳  /  小窓尾根 〜 剣尾根R4 アイス     2010年5月2日−4日


aaaaaaaaaaaaaaaa

剣岳の山頂近くに、5月になってもアイスクライミングが出来る所が有るらしい。小窓尾根、チンネも初めてだったから、ついでに3つまとめて、やっつけるつもりで、片道500キロ走って確かめに行ってみた。 PHOTO ALBUM

  5月2日(無風・快晴)

  馬場島(5:50)〜ドーム(12:30)〜マッチ(13:20)〜小窓の王(15:00)〜三の窓(15:30)   map


前夜、北陸道の有磯SAで車中泊し、翌朝いつも通り寝過して、一時間以上遅れて滑川ICを降りる。馬場島の派所に立ち寄り、ルート、名前を告げ、馬場を出発する。


 
はるか彼方に見える雪の稜線が北方稜線で右のピークが剣岳、一番左の大きなコルが2年前にスキーで滑り降りた大窓で右隣が小窓、更に右が今日のネグラ予定の三の窓だ。




白萩川の取水口、左手の巻道を行かずに、川通しに行く

2年前に比べ雪は多い印象だった。40分ほどで、白萩川の渡渉点に着く。

 水量が多ければ右岸を巻くつもりでいたが、取水口下を飛び石伝いに左岸に渡れば、その先もスノーブリッジの崩壊はまだ無い。

池ノ谷入口

ここを行けば、R4は日帰り可能と思う。

雷岩手前の白萩川の様子。正面の岩が雷岩。そのから適当に右手の斜面に取り付く

馬場島から2時間かからずに、雷岩に着く事が出来た。の先もほぼ雪が切れることがなく、暑いことを除けば何苦労もなく、正午にドーム手前2100mピーに着く。 

正面が明日登るR4の有る剣尾根末端

小窓尾根に上がると右手に剣尾根末端の二股が目に入る。

2年前の夏、剣尾根、門手前で雷雨に見舞われ、撤退するも随分と怖い思いをしたことを思い出す。


小窓尾根を振り返る
2100mピークから見る北方稜線

2100mピークから右手のニードルを望む。この辺
りか
ら人の気配を感じる。

 3つのピークにはそれぞれ新しい幕営跡が有り、新雪
けられたトレースはしっかりしていて随分と助
かった。

 パッと見ルートは判然としないが、トレースを拝借す
と、簡単にニードルの肩に導かれる。その先は5m
ほどの
下降は無理をせずロープを出したがロープを汚
してしまっ
た。その先ドームを登り、そして下る。

 ピラミッドピークは右から巻くように右上すると下の
真の岩稜帯が突然眼前に現れる。               

ちょうど、マッチの下に先行2パーティーが遠望できる。50mほどの馬の背リッジは高度感もなく普通に歩いて渡れる。

 その先で1パーティーをパスし、リッジを左から巻くルンゼでもう1パーティーをパスしてマッチの肩に立つと、右手に明日攀る R4 が全貌を現した。

 氷は青々として、コンディションは良さそうに見える。明日の登攀が楽しみだ。これで今日中にベースキャンプの三ノ窓は見えたので、ゆっくり目に休む。明日の成功を願いアミノ酸を大量に胃袋に流し込んだ。

小窓尾根より撮影した、明日アタックする剣尾根R4上部

中央のピークから引かれ一条の細い線がそれ。

下から300m以上は有るのと思う。

 

 

小窓の王手前の2つのアップダウンはきつい。

ここからは赤谷からのパーティーも合流してトレースが太くなる。方には小さく8人が確認できた。           

小窓の王に15時ちょうどに着く

3パーティーが懸垂待機中で、その間、神戸のパー
ティー
の方に写真を撮っていただき、その後、懸垂
ロープまでも
使わせていただいた。(ロープは懸垂下降以外必要なところは無かった)

 毎年、この時期は幕営具、登攀具、に加えスキーを
担い
の山行が定番で、アプローチですべてのエネル
ギーを搾
取られ、山を楽しむどころか、修行僧の様な
辛い山行に
なっていた。

 今回はスキーを持たない分、楽。でも、下山に剣山
頂から
滑って、その先、立山川を滑るなんてのも、
かったかな
。と、下山後、思ったりもした。

三の窓から小窓の王を振り返る

チンネ中央チムニーを攀るパーティー


三ノ窓にテントを設営後、氷の繋がったチンネ中央チム
二ーを偵察した。氷の発達も良く難しそうには見えない。

明日のR4が無事に済めば継続する事にしよう。

日本海に沈む夕日

テントに戻り夕暮れの日本海を肴にウイスキーをチビ
リチビリやった。沈む夕日を見ながら、今日一日を回想し、そして明日のR4に夢を馳せる。苦労したからこそ得られる贅沢なひと時だ。山をやっていて良かったと思う瞬間でもある。

 日没前までに、三の窓は小窓・赤谷尾根からのパ-ティーが三々五々集結し、一大テント村が出来上がっていた。

 テ ントの中で、暇な人が数えているのが聞こえた。「・・じゅういち・じゅうーに」と。

5月3日 無風・・快晴

三の窓(6:30)〜R4取りつき(7:00-20)〜登攀終了(10:20-40)〜取りつきにてカメラの捜索(11:00-1200)〜三の窓(13:00)

昨日小窓尾根より撮影したR4全景

昨晩あれだけ賑わっていたテンバも目を覚ますと数張りを残して皆旅立っていった。相変わらず緊張感が無い。

 6時40分、いつものように遅い出勤で三の窓を下る。 僅か30分でR4取りつきに着くと、な、なんと既に5人待機している。それを見て、遅い出勤を後悔しが、すぐに、池ノ谷左俣を詰めている人達だと分かりほっとした。 取りつきにはザックが3つデポしてあった。

7時20分スタート 1P目

雪と岩のミックスを右上してカンテを右に回り込んでから、直上するとR4に入り込む。ここが核心部らしい。アンカーが取れないのでフリーソロで行く。 回り込む所にハーケンが一枚有った。

 トポの2p目に入ると先行のビレイヤーが居て、いきなり「谷川3ルンゼ」の人でしょ」と声をかけられ、びっくりした。「相変わらず馬鹿な事やってるね」と褒めて頂いた。その方は偉い方のようで若手のパートナーを従えていた。言うなれば、殿様クライミングと言ったところか。

 

1p目の右トラバースを終えここを直上してR4に入り込む。氷はデリケートなガラス状でアックスを強く打ち込むと、簡単に割れ岩が剥き出しになり、騙しだましの登攀になる。

背後にはこんな美しい景観が広がっている

上からの落氷、スノーシャワーを避けながらのクライミングだから、時間がかかる。ロープは必要なさそうだ。

  この後、池ノ谷にカメラをダイブさせてしまう。 一つの失敗が命取りになってしまう状況の中での、ミスだったからすごく、ショックを受けた。 たまたまカメラだったから、命に何ら危険を及ぼさないが、次回は無いと肝に銘じた。

今回のアイゼンは長いアプローチの事を考慮して縦走用を選択した。 それはそれで間違ってはいなかったが前ツメのセッティングが岩仕様のままで短すぎて、氷への食い込みが悪い。

下部の1・2Pを抜けて、緊張感から解放される。

下から200m以上は上がったところから 

ロープは引きづったまま。

雪壁を振り返る 

一昨日の新雪が乗り嫌な感じはするが、しっかりしたトレースが有り不安は無い。

斜度は意外と緩く、45度位

 背後のコルはベースキャンプの有る三の窓

3時間で終了した。氷の状態が良すぎて、ロープは必要なかった。ドームで先程のお二人としばし歓談後にカメラの捜索に行く。若い方の人は有名な探検家らしい?。

 予定では12時に三の窓に戻れれば、チンネ中央ルンゼへ継続するつもりだったが、カメラの捜索に時間がかかり、午後はテントで酒をあおってゆっくりする。カメラは幸運にも発見する事が出来た。案の定、全身打撲で再起不能な変わり果てた姿になっていた。内臓(カード)が吹っ飛んでいたが、あの広大な雪壁からあの小さなSDカードを探し出すことができた。

まさに奇跡としか言いようがない。

R2の下降

写真では大した斜度には見えないが、50度以上有る雪壁です。

 新雪がべっとり乗った上に、気温がぐんぐん上がり最悪 のコンディションで、一か八かの下降になった。

写真左のピークがドーム

下山はまず、このドームを左下へ鼻血の出そうな下トラバースをして、その先のコルから急峻なR2を下降する。 いずれも急斜面でR4そのものよりもコワカッタ。

 翌朝は強風、ホワイトアウトで視界2−3m。暫く待ったが回復せず下山を決める。山頂(初めての剣岳でしたが、山頂の祠はガスが濃くて気がつかなかった。)を踏んでから早月尾根経由で馬場島に下山した。天候が悪かったことも有るが、北方稜線って、意外と侮れない。

 下山後、高速には乗らず国道8号線を富山から日本海に沿ってひとりドライブを楽しんで、上越高田から高速に乗るが、酷い渋滞で、川崎まで12時間もかかってしまった。往復1000キロの運転とアプローチのながーい五月のアイスクライミングを無事に達成でき大満足です。

 5月4日(強風・濃霧)
 

三の窓(6:40)〜剣岳(8:00)〜早月小屋(9:45-10:00)〜馬場島(12:00)

 

 

 

inserted by FC2 system