奥秩父縦走 ・ 穴山駅~金峰山〜雲取山~奥多摩駅    2018・10月8日−9日


冬山を前に瑞牆山、金峰山、甲武信ケ岳、雲取山と百名山4座を擁する奥秩父主脈に行ってきた。中央本線韮崎駅から二つ先の穴山駅を出発点とし金峰山、甲武信ケ岳、笠取山、雲取山を経て奥多摩駅をゴールとする、実に移動距離100km、累積標高6500mのタフなルートだ。調べて見ると人気の縦走ルートの様で3~4泊で縦走する人が多い。標高が低く危険箇所も無いことからトレランする人にも人気が高い。中にはワンデイで、なんてツワモノがいたりする。私にはハードルが高いが、歩いていては登山口までで1日が終わってしまうので走れる所は走って行くことにした。(韮崎駅から始発バスに乗っても登山口到着が10時過ぎになってしまうので、走るしかなかったのだ)

10/8 (曇り) 穴山駅(0:30)〜途中仮眠(3:30-4:00)~瑞垣山荘(5:17ー6:00)~金峰山(9:14-45)~大弛峠(11:00-30)~国師ヶ岳(12:19)~甲武信ケ岳(16:16)

 

立川から22時44分発特急かいじに乗り、甲府駅で終電の中央本線小淵沢行に乗り換える。連休最終日であったが自由席もガラガラでゆったりと過ごすことができた。

0:22

無人駅の穴山駅には4人降り立ったが登山者は自分ひとり

駅舎で仮眠を取ってから出発するつもりでいたが、電車で仮眠が取れたので、装備の確認をしてから、すぐに出発した。

ここから瑞牆山登山口まで約30km、標高差1000m。一番の核心になると思う。明日の夜に奥多摩駅に降りたてる事を願いつつ、ナビを片手に深夜の車道を走りだす。

標識に従い増富温泉を目指す

まとわりつくような湿気と気温の高さは10月とは思えない。

街中にあった趣のある古い写真館

2:11

塩川ダムを過ぎると傾斜が強くなり殆ど走れない。

 

3:10

20キロ地点で早くも左足底にできたマメの痛みと右鼠径部の鋭い痛みで歩くのすら辛くなってきた。山スキーのシール登行時に痛くなる場所と同じだ。

慣れない上り坂のランが原因だろう。ストレッチ、マッサージで様子を見るが早くも敗退の可能性が頭を過る。

焦ってもしょうがない、ひとまずザックにもたれ仮眠を取ることに。

5:17

瑞牆山荘 駐車場は2.30台の車が止まていた

登山口に何とか辿り着くことができた。「もうここで十分」と半ば気持ちは傾きかけていた。

小屋のベンチに腰掛けトリガーポイントを入念に押圧、ストレッチを続けると、あら不思議。随分と楽になってる。この分だと行けそうな感じに。

行動食と痛み止めを胃に流し込んで6時に金峰山に向け出発する。

6:00

金峰山に向けて出発

人気の山だけあって登山者はさすが多い。

6:01

 

懐かしいミズガキの岩峰

かつて、瑞牆の岩場に通い詰めた時期もあった。

6:13

富士見小屋

瑞牆山、金峰山に行く人たちで賑いを見せていた。

7:11

大日岩

7:15 

その2

足の痛みはほぼ解消したが、疲労感がピークに。

展望が無いのでなおさらだ

9:00

山頂直下

「できれば走って」なんて思っていたが登山者と抜きつ抜かれつ。この先、甲武信小屋まで走ることは無かった。

9:10

五丈岩で

9:14

金峰山に到着

大弛に向かう

金峰山から大弛峠までの登山道ではアプローチの良さから老若男女を問わず100人を超える人にすれ違った。背広姿の人もいた。

9:24

眠さと疲労でダウン。30分の仮眠をとる。

10:00

一瞬ガスが晴れかかったが、この後またガスの中

北八つのような縞枯れ現象なのか

先週の台風の影響で樹齢何十年クラスの大木がバタばたと倒れていた。

11:00

突然現れる大弛峠の駐車場

連休最終日なので家族連れで混み合っていた。

11:04

大弛小屋

以前は小屋食を食べるなんて考えもしなかったが、今は積極的に利用させてもらっている。

11:35

小屋から国師ヶ岳へは木道が整備されていて歩きやすい

11:56

前国師岳

12:19

ここは「国師ヶ岳」

ここで3度目の仮眠を取ると、体は絶好調に。本日の目的地甲武信小屋までピッチを上げる。

国師ヶ岳を過ぎると極端に人はいなくなり2人にすれ違っただけである。

どうしたら、こんな事になってしまうのか
新兵器の「クマよけスプレー」こいつのお陰で夜間の行動でも不安は無かった。これはツキノ輪熊、イノシシ対策用で小型で重さは気にならない。片手にストックを持てば「熊に金棒」

15:58

甲武信岳も近い

かつて千曲川源流域でフライフィッシングに夢中になった。

16:16

甲武信ケ岳(2474m)

百名山とは知らなかった

山頂から振り返る

16:25

頂より少し下ると甲武信小屋

本日はここまで。リタイア濃厚だったが、計画通り甲武信小屋まで進む事ができた。仮眠が功を奏した様だ。眠い時は横になるに限る。

連休明けの平日なのでテント3張り、小屋泊まり数人とガラガラ。小屋番曰く、昨日は満員御礼だったそうだ。

新調したばかりのヘリテイジ「エマージェンシーソロシェルター」180gと超軽量だが弱点ばかり。

1:小さすぎて180cmの私にはぱつんぱつん

2:頭から入ってしまうと中で方向変換ができない

3:中で調理はおろか座位をとることすら困難

シームテープで縫い目を覆い防水加工をしてはみたが、今後出番はあるか微妙な所。今回の食糧は菓子パン3、調理パン2、握り飯2、柿ピー3、ベビースター2、サラミ、エネルギージェル2、アミノ酸粉末4、赤ワイン、小屋でカレー、おでん、カップ麺

8/15(晴れのち濃霧)

テント発(3:20)〜破風山(4:49)〜雁坂峠(6:20)〜古礼山(7:17)〜雁峠(8:00)〜笠取山(8:25)~将監峠(11:16)~飛龍山(13:49)~雲取山(16:43)~奥多摩駅(23:00)

3:20

心身ともに復活でき気持ち良い朝を迎える

昨晩は合羽を着てエマージェンシーシートにくるまって寝た。暖かく快適に熟睡できた。

日の出まではモクモクとライトの光を追う

5:32

このあたりも枯れ木ばかりが目立ち痛々しい。

明るくなってきたので、走れる所はゆっくり走る。
振り返る

5:58

雁坂嶺

ここも、ほとんどの木が枯れてしまっている。台風による倒木もおびただしく、乗り越えられるものは良いが、大木になると巻かなければならない。これが地味に体力を消耗させる。
こんなところは気持ちよく走れる
天気も最高だ

6:22

日本三大峠「雁坂峠」

どうでもいいけど針ノ木峠(北ア)、雁坂峠、あとは夏沢峠(八ヶ岳)とする説と三伏峠(南ア)とする説があるそうだ。

ここはれっきとした国道140号線でかつて武田信玄の軍用道として使われていたそうだ。もちろん車が通れる訳ではない。

10分ほど登ったところにこんな物が
そして、振り返る

7:17

古礼山

7:43

燕山

しょぼいゾ

異常気象のせいか紅葉はいまいち

8:00

雁峠を見下ろす

まだ時間が早く、人っ子一人見当たらないが昼頃になると、きっと多くのハイカーで賑わうのかな。

この辺り一帯は笹の生い茂った気持ちの良い「草原」が広がる。

8:05

ちいさな分水嶺

多摩川・荒川・富士川の分水嶺

8:25

笠取山

雪がつくと面白そうな急斜面

8:40

ひと登りで笠取山山頂

雲は多いが雄大な眺め

笠取山から

10:18

こちらも可哀想過ぎる唐松尾山頂

シャクナゲの群生地でもある

11:16

将監峠(しょうげん)

将監峠下に有る将監小屋

小屋は〇〇だが向かいに有るトイレが異常に立派過ぎる

コーラの一気飲みを楽しみにして行くと留守中の札が。仕方無く、水量豊富な水場で水を拝借して、先を急ぐ。小屋横に雲取山と案内板があったのでそちらに行くと、まき道だったようで竜喰山と大常木山の山頂をは踏むことができなかった。

高度感のあるちょっと危なげな橋

本体は鉄で出来ていて一見、堅牢に見えるが肝心な岩への接地部分の詰めが甘く、どう見てもただ、岩の上に置いただけの様にしか見えなかった。こんな橋が4~5か所有った。

将監峠から雲取山までは同じような景色の右下トラバースが何時間も続きうんざりする。また、左足関節の外反肢位が長時間強制され、下山後、腫れてしばらく痛かった。右下斜面は意外と急なので転倒でもすると奈落の底に落ちてしまいかねない。
こんなところは足にやさしい

13:29

禿岩からの眺め

13:32

荷物をデポして飛龍山に向かうが意外と遠い。(往復35分)しかも、山頂から雲取山方面へ抜けられそうだった。

13:49

名前は良いが展望はない。

15:38

日没が近づくとガスが徐々に濃くなってきた

15:44

もうすぐ雲取山へ

2日目の甲武信岳から雲取山まで、アップダウンはさほどでも無く、走れる箇所は多かったが、怪我でもして、人様の手を借りる様なこと避けたいので、写真のようなところ以外は歩いた。

16:31

不思議な形の木

雲取山への最後の上りはきついよ

16:43

そして、ついに雲取山山頂に到着

ここも人の姿はなかった。結局、甲武信ケ岳から1名にすれ違っただけ。平日の山は寂し過ぎるほど静かな山だった。

わざわざ今回の為だけに地図をそろえるつもりはなかったが、カシミールの概略図ではコースタイムが分からず「まだかな、まだかな」ばかりで気持ち的に疲れてしまった。

23:00 奥多摩駅

下山は石尾根を下り奥多摩駅22:19分発の電車に乗るだけ。コースタイムは7時間弱だから全然余裕と高を括っていたら、日没とともにガスがどんどん濃くなり、ライトの光が反射して足元が見えにくく、走ることは愚か、歩くこともままならない。しかも、高度を落とすと先週の台風で落とされた杉の枝が登山道を隠し何度も道を失ってしまい時間ばかりが過ぎて、駅に着いた時には既に終電の姿はなかった。駅前にコンビニ、ネットカフェが有る筈もなく、ひとり、駅のベンチにもたれ、こっくり、こっくりと始発を待つのであった。

雲取山は大昔に一度登ったことはあるが石尾根は初めてで、その長さに辟易した。下山道の長さでは日本一じゃないか?ただ、昼間であれば走るにはもってこいのルートと感じた。クマの爪痕を何回か見たので、クマと鉢合わせしないよう走る時はクマ対策が必要と思う。

酸素カプセルを導入してから、明らかに疲れにくい体に進化してると実感する。頑張りすぎた翌日の筋肉痛、倦怠感が無いのだ。出来る事なら山へ担いで行きたい位だ。

 

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